「スカウトメールで採用率アップ」に騙されるな!

待ちの採用→攻めの採用へ!の落とし穴

採用活動において従来の「応募を待つだけの採用」だけでなく、
スカウトメールを利用した「攻めの採用」を取り入れ、実行される企業が増えつつあります。

もちろん、「スカウトメール」を利用した採用は有効な手段の1つではありますが、
それを行うことで「採用率はアップするものだ!」と信じていませんか?

 

実はスカウトメールがうまく運用できれば「応募者数や内定承諾数を改善できる!」という話は半分ウソです…。

この記事では、どんな採用であれば「スカウトメールで採用率を上げることができるのか?」
について具体的な事例を交えながら解説をしていきます。

これから解説する内容を読むことで、「スカウトメールに期待できる採用効果」が事前に予測でき、会社のリソース、例えば「スカウト原稿の作成と配信にかかる時間」、「採用費」、「採用業務にあてる時間」などへ無駄を省いた採用計画を実践することができるようになります。

 

スカウトメールで採用率が悪化する理由

冒頭でお伝えした通り、スカウトメールを利用した「攻めの採用」を実践することで、
「応募数や内定承諾数が改善する」
、「採用率が改善できる」という話は半分ウソです。

どうして、半分ウソなのか?
それには2つの理由があります。

ここからはその理由を証拠データともに紹介していきます。

〇〇へスカウトをしても効果は薄い

なぜスカウトメールで採用率がアップできないと言えるのか?
1つ目の理由は、「スカウトメールで反応が取りやすい人材に偏りがある」からです。

実はスカウトメールは「未経験者」の方がより反応し、反対に「経験者」の反応率は低い、という傾向があります。
以下は当社が実際に担当した営業採用の案件で配信したスカウトメールの効果測定データの2つです。

《営業募集の効果事例①》
営業代行会社A社様
設立:2019年、従業員数:5名、勤務地:東京23区内、で「未経験」を対象に採用を行なった結果

営業代行会社U社様
設立:2015年、従業員数:7名、勤務地:東京23区内、で「経験者」を対象に採用行なった結果

ご覧の通り、配信数は約2倍異なりますが、未経験者対象は【2800通=32名の応募】に対して、
経験者は【1409通=9名の応募】と大きな差が出ています。

また、全く同じ会社で「未経験対象」と「経験者対象」の両方を募集したときの結果が以下となります。
(同時期の掲載ではなく、異なるタイミングで掲載した結果となります)

《営業募集の効果事例②》

営業代行会社I社様
設立:2014年、従業員数:11名、勤務地:横浜市内、で「未経験者」を対象に採用を行なった結果

同じ企業で「経験者」を対象に採用を行なった結果

ご覧の通り、「未経験対象」では、840通のスカウト配信→「24名」の応募となっていますが、
「経験者対象」の場合、2720通の配信と約3倍の配信数で「31名」応募と著しく反応が低くなったという結果が出ています。

このようにスカウトメールの反応率は未経験者の方が高い、という傾向があります。

なぜスカウトメールから応募したのか?を直接聞くと…

なぜ対象によって反応が異なるのか?

様々な理由はあると思いますが、筆者自身がスカウト経由で応募をされた方と面接をした結果、
応募をする前の判断基準に違いがありました。

経験者の方は特定の仕事へ長期間携わることで、「経験を活かしながらこんな〇〇がしたい」や
「具体的に〇〇を改善したくて…」と明確な考え/希望を持ち、
かつ応募先では希望が叶うか?をしっかり確認→応募をしました、というお話が多かったです。

つまり、応募ボタンをクリックするまでに事前確認をするポイントが複数あり、
応募を決めるまでの障害がたくさんある=結果的に応募に繋がりにくい…ということがわかりました。

それに対して、未経験者は「スカウトをいただけたので…」や「御社の〇〇というスカウトの言葉に惹かれて…」など、応募先を判断する基準・軸が実は定まっておらず、「良さそう」など感情面とその場の勢いで意思決定をされる方が多い傾向にありました。

また、仕事をまだ経験していない分、入社後のイメージが思い浮かばず、
判断基準がざっくりしていることも、反応率が高い要因と考えられます。

このような理由も含めて、未経験の方は経験者の方に比べてスカウトメール方の反応率が高い傾向にあるということができます。

実は企業が犯すミスがもう1つの原因です

スカウトメールを使っても採用率が改善しない、
もう1つの理由は「企業が提示する待遇が他社よりも悪く見えてしまうことに気がついていない」ことです。
こちらも実際に自社で行った採用事例をお見せすると…

★イベント企画会社 T社(ルート営業募集)
給与:23万円
休日:週休2日(シフト制)
勤務時間:10:00〜23:00の間で実働8h(担当案件により変動)

★太陽光パネルの営業代行会社 A社(個人向け営業)
給与:25万円
休日:週休2日制(月6日程度)
勤務時間:9:00〜19:00(実働 8h)

上記は待遇を低く設定をして、採用に失敗した事例です。

ちなみに、営業募集で平均的な待遇(1都3県)は…
給与=24万円以上、休日=完全週休2日以上(平日も含む)、勤務時間=9:00〜19:00の間(実働8h)
であり、比較をすると求職者には魅力を感じてもらいにくい内容です。

どんな企業でも無視はNG!採用で守るべきルール

なぜ、そこまで待遇が大切なのか?

この内容については、他の記事で紹介をしている通り、
「給与、休日、勤務時間」=待遇面の改善を希望しての転職活動をスタートし、
かつ「待遇面の改善」が入社先を決める判断材料になっている、というアンケートがあるからです。

 

(引用元:株式会社マイナビ『転職動向調査2020年度版』(2019年) 8ページ)

(引用元:株式会社マイナビ『転職動向調査2020年度版』(2019年) 19ページ)

まとめ

いかがでしたでしょうか?

「応募が集まらない」や「採用まで至らない」など採用の課題を解決するために、
「スカウトメールの運用」は採用率の改善が見込める有効な手段の1つです。

しかし、「どんな採用でも効果を発揮できる」という訳ではなく、
【未経験者の採用】、【待遇が低く見えないこと(他社募集と比較した結果)】など、
ある一定の条件が満たされないと効果が出にくい…という側面も現実としてあります。

また、スカウトメールでの採用活動は「原稿の作成」、「ターゲットの選定と配信」と企業側にも手間がより発生するため、ご紹介した条件を無視してしまうと「結果を伴わない行動だった…」ということにもつながってしまいます。

 

採用活動へ使える時間や人材のリソースも限られていると思いますので、ご紹介した内容をもとに、
改めて「自社のスカウトメールを利用した採用は適切か?」を検討し直す1つのきっかけとして活用をいただけるとうれしいです。

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